こんにちは。大人のおしゃれ塾、田中です。
2年3か月ぶりにリニューアルした広島市現代美術館。
工事が始まる12月に訪れた際には、これから当分お別れなのだと思うと寂しかったです。
私もこの後、上行大動脈解離で緊急手術を受けたので似たような境遇といえば境遇でした(笑)
ともあれ、広島現美は、耐震、空調設備も刷新され、ピカピカになって戻ってきました。
リニューアルした広島市現代美術館
基本構造は変わっていないので、特段、驚くこともなかったですが、以前の面影がなくなって悲しくなる、ということもなかったのは良かったです。
オープン直後(3月18日)の混雑は避けて、4月4日に行ってみました。
春休みということもあり、美術館周辺は子供連れや花見客も多かったです。
屋外の彫塑作品も健在です。
根香(空充秋1988年)
広島駅からは5番の電車に乗って比治山下で下車。
10分くらい坂道を上がっていくので多少息切れが。。。最後は美術館入口の急階段がとどめかな。
美術館エントランス
中に入るとロビーから続く回廊も今まで通り、光に満ちています。
天井の照明が変わりましたかね?
休憩用の椅子もまるでオブジェのよう。
地階に下りる階段のモニュメントも今まで通り。
井上武吉【階段モニュメント】
地階の園庭からは青空も見えて。
一階に上がる階段もクリーンな印象に。
1階のロビーに並んだ5個のチエアが可愛い!
ロッカールームも清潔感にあふれて。
施錠はデジタル化。
エントランス横(ロビー)には多目的スペース「モカモカ」が新設。
ここでは、ワークショップなど様々なイベントでの活用が可能となります。
モノトーンで統一された美術館内では天然木を使用したナチュラルさがまた良い味わいを出しています。
ちなみにミュージアムショップ「339」もここと同じナチュラルなインテリアです。
前売りチケットも「339」でオンライン購入できるようになり、大変便利になりました。
リニューアル記念特別展『Before/After』
さて、現在開催中のリニューアル記念特別展、Before/After。
第一展示室は、横山奈美の【女神になりたい女について】から始まります。
撮影許可が下りているは横山奈美氏と和田礼治郎氏の作品。ご紹介しておきますね。
横山奈美【Sape of Your Words-R.I.-】
和田礼治郎【SCARLET PORTAL】
両作品とも、モノトーンを基調とした館内に「赤」がとても映えていました。
けれど、私が一番感動したのは、SHIRIN NESHATシリン・ネシャットという作家の映像で、25分19秒ありましたが、全部で3回見ました。
大スクリーン2面で同じ主人公のストーリーが同時に流れます。
両方同時に見るのは難しく、1回目は左側のスクリーン、2回目は右側、3回目は両方、という感じで見たので3回になったわけです。もう1回見たいくらいでした。
主人公はこの特別展のポスターになっている女性です。
豊かな黒髪が美しいスレンダーな女優さんでした。
この主人公が左画面ではウエストの細いシンプルなワンピースにショートブーツを履いて何人かの家を訪問して写真を撮り、見た「夢の話」を聞きます。
右画面では現像した写真を「夢の研究所」?に持ち込み、白衣を着て何やら作業をしています。
見ているこちらが不思議な気持ちにとらわれ、主人公の美しさもあってついつい見入ってしまうのですね。
作品名は【Land of Dreams】(2019年)
こちらが夢の国に入ってしまう感じでした。
シリン・ネシャット(1957年生まれ)は、ニューヨークを活動拠点とするイラン人女性映像作家で「写真、ビデオ・インスタレーション、映画とさまざまな表現手段を駆使し、現代イスラム社会を生きる女性たちの政治的、社会的、心理的に抑圧された状況を描写」しています。(高松宮殿下記念世界文化賞記事より引用)
おそらく政治的なメッセージが込められた作品だと思いますが、やはり作品は見る人の心を掴んでなんぼのもの。
やられましたね~。
同じような衝撃は昔、レベッカ・ホルンの映画でも感じたことがあります。
2009年に東京都現代美術館で催された『レベッカ・ホルン展-静かな叛乱 鴉と鯨の対話』で上映された「ダンス・パートナー」。
こちらも今でも思い出すと摩訶不思議な気分になります。
映像作品も面白いですね。
そんなわけで、今回のBefore/After展、シリン・シャネットの【Land of Dreams】、ダントツでお勧めです!
美術館の雰囲気にマッチしたシンプルでモダンなカフェ
長時間、映像を見ていたらお腹が減ってきました。
以前カフェがあった場所はミュージアムショップになっていて、改修後は多目的スペース「モカモカ」の隣りになっていました。
エントランスロビーからは中が見えないので、入るのにはちょっと勇気が要ります。
ドアを開けると明るくて開放的な空間がパァーッと広がっていました。
野外彫刻と緑を眺めながら、軽い食事やお茶を楽しむことができます。
メニュー表がないため、店員さんに「ランチはありますか」と質問したら、サラダ、スープ、サンドイッチの案内がありました。
価格もわからない状態でのオーダーだったので、ちょっと不安ではありましたが、雰囲気の良いお店でしたし、店長さんが私のファッションをいたく褒めてくださったのでw、良しとします。
サンドイッチとコーヒーを注文しました。
パンは「PAIN Cloche」の固焼きバケット、そこにバターと粒マスタードが塗られ、スパイスとハーブに漬け込んだローストポークの薄切り、梶谷農園(三原)のハーブ野菜がサンドされています。
アップで撮ると大きく見えますが、実際はそんなでもないです。
ただし、パン(バケット)がとにかく固いので、食べるのに時間がかかるせいか満足感がありました。
ハーブの香りが半端なくいいです!
コーヒーはたっぷり注がれていて、あっさりとした味わいでした。ミルクとお砂糖はお願いして持ってきてもらいました。
お水の入ったグラスもシンプルですがモダンなフォルム。店員さんのユニフォームも白と黒で統一されています。
このお店はおそらく公募(公募型プロポーザル)で決まったのではないでしょうか。
令和4年の7月に「広島市現代美術館カフェ運営事業者募集」が公示されていました。
募集概要は次のようになっています。
広島市現代美術館等の利用者に飲食サービスを提供し、施設の利便性を高めるとともに、施設の魅力や集客の向上、さらには比治山公園のにぎわいづくりに資する魅力あるカフェの運営を目的として、現代美術館内のカフェに出店する事業者を募集する。
こちらのお店が当選(というのか?)したのですね。
改修前とは場所が変わったことによって、彫刻広場がよく見えるようになりました。テラス席も(ひざ掛けも)用意されていて、季節の良い時分には気持ちが良いでしょうね。
この赤い服の人が店長さんではないかと思うのですが、メニューのようなものを作っておられました。
帰宅して食べログを見たら、こちらはチーズケーキもある様子。
もっとメニューが増えて、プライスが分かるようになっていたら良いですね。
帰る時、店長さんがわざわざ私の所まで来てくださって「またいらしてくださいね。お待ちしています!」とのこと。
「御馳走さまでした。BGMも心地よかったです。」とおこたえしました。
ちなみにお勘定は1,650円(税込)。
カフェ「KAZE」。
お店の立地やコンセプトを考えるとこのくらいになるのかもしれませんね。