こんにちは。大人のおしゃれ塾、田中です。
先週土曜(1月22日)の中国新聞に、この春4月に再開するアルパーク西棟のことが報じられていました。
無印良品が西棟の核テナントの一つ
西棟には「生活雑貨の無印良品を中心に、アウトドア用品や家電など19店舗が入る」そうです。スーパーのフレスタも無印良品と並んで集客の柱となります。
西棟は最初、40店舗を入れる計画でしたが、他の商業施設との競合を避けるため、店舗数は減らして売り場面積を広げ、品揃えを強化する方向になりました。
1月13日付の広島経済新聞では、無印良品(良品計画)が現在のアルパーク東棟での売り場面積の8倍に近い面積になると報じられていました。無印良品のほぼ全商品(約7500種類)が取り扱われるとのことです。
約8倍がどのくらいの広さなのか想像もつきませんが、中国新聞によると「良品計画が展開する32か国・地域の計約1100店の中で最大」だそうです。
無印良品の業績と衣料品売り上げの落ち込み
けれど良品計画の直近の業績を見ると、衣料品をはじめ食品に関して落ち込みが大きいようです。
「良品計画が7日発表した2021年9~11月期の連結決算は、純利益が前年同期比36%減の78億円だった。生活雑貨店「無印良品」で秋冬物の衣料品の販売が落ち込んだ。前年同期に新型コロナ下の巣ごもり消費で食品の買いだめ需要があった反動も出た。米国の店舗閉鎖に関わり前年同期に計上した25億円の特別利益もなくなった。(日本経済新聞、1月7日業績ニュースより)」
このコロナ禍ですから業績の落ち込みは良品計画に限りません。多くの企業が苦しんでおられることでしょう。
けれど衣料品に関しては、無印良品はシルエットが普遍的すぎて、今のトレンドからしたらサイズ感、シルエットに魅力が感じられにくくなっていることも原因の一つではないでしょうか。
無印良品の誕生は1980年です。この頃の日本はバブル期を目前に、若い世代から年配まで、お金をかけてファッションを楽しむ人が増え始めていました。好景気の明るいムードを反映して、派手なカラーや個性的なデザインなど、目を惹くアイテムが多くなったのもこの時期です。
無印良品の「簡潔で気持ちのいい低価格商品」は、何もかもが過剰でバブリーだった時代に一石を投じました。
無漂白のパッケージ素材やラベルに象徴されるように「生産プロセスを徹底して合理化することで生み出された商品群」は革新的でさえありました。
無印良品のコンセプトには次のような一文があります。
演出過剰ぎみだった一般商品と好対照をなすこれらの商品群は、日本のみならず世界に衝撃を与え、大きな共感とともに受け入れられました。しかしその思想の根幹は誕生当時と変わらず、北をさす方位磁石のように、生活の「基本」と「普遍」を指し続けています。
ここなのですよね。生活の「基本」と「普遍」。衣食住のうち、特にファッションに「普遍」はないのではないでしょうか。
無印良品が誕生したころは、その無駄のないシンプルな「かたち」や「暮らし方」が進歩的でスタイリッシュにさえ感じられたのではないでしょうか。
トレンドの存在と普遍的な服の在り方
無印良品の誕生から41年。
今や類似の商品が巷にはあふれています。ナチュラルで生活に身近なアイテムが、トレンドをおさえたサイズ感やシルエットで展開されています。衣料品に限らず、インテリア用品も家電も、化粧品も、無印良品より安い商品もたくさんあります。
そんな中で衣料品にしぼって考えた場合、ブランド理念の「普遍」を打ち出すのであれば、例えばインナーはどうでしょうか。
綿100%のラフィーガーゼでできた長袖Tシャツとか、流行に左右されない定番中の定番です。ラフィーガーゼというのは綿を紡績する段階で発生する落ち綿を混紡したリサイクルコットンのことです。
このTシャツは袖丈と着丈が長く、上に着た(トップスの)袖口や裾から出して見せることができます。黒、白、グレーに加え、赤、黄、青、緑などシーズンごとに色を変えて売り場に変化を持たせます。日本の染色技術をいかした商品づくりも良いかもしれません。
天然繊維(綿や羊毛)の高騰から、UNIQLOのヒートテックをはじめ、多くの企業が化学繊維にシフトしていますが、こういう時代だからこそ天然繊維にこだわったモノづくりは訴求力があるのではないかと。価格は高くなると思いますが、そこは良品計画さんの企業努力で何とか…。
ウール100%のインナーも魅力がありますね。ワークマンが商品化しているのを知って驚きました。無印良品にもあったらいいのにと思います。
今の8倍も広くなる売り場面積、ただ商品を並べるだけでは売り場に活気というか、変化が感じられません。。ZARAやH&Mのように、毎週、目新しい商品が売り場に並ぶわけではありませんから。
そこでポップアップストアです!
無印良品の商品を組み込んだポップアップストア
ポップアップストアとは、数日~数週間程度の、比較的短い期間限定で開設されるショップのことです。
期間限定で出店するポップアップストアは、それだけで顧客の興味を引きやすいですし、イベント要素も高く、TwitterやInstagram、FacebookなどのSNSで拡散されれば、さらに集客につながります。
それには地域の作家さんたちと手を組むのが良いのではと。
ジアウトレット広島(THE OUTLETS HIROSHIMA)にあるサッカザッカ(SAKKAZAKKA)は、作家さんが店内で製作作業したりワークショップをしたり販売を行う場となっています。作家さんは出店料を払い、売り上げの何割かが収入となります。
そのような一般的な出店方法ではなく「無印良品の商品を組み込んだかたちで自身の作品をディスプレイする」のです。
例えば手編み商品と無印のニットとか。写真はまだ編みかけで申し訳ないのですが、作家(この場合私)の作品と黒いカーディガン(無印良品)をコラボさせてディスプレイします。
ディスプレイに必要な商品は無印から貸し出してもらえます。もちろん無料です。
出店料も不要です。売り上げに対する手数料も格安にしてあげてください。その代わり作家さんはSNSでしっかり出店のことや、無印の商品のことなどアピールしてください。
アクセサリーやファッション雑貨、インテリア用品、絵画、ドライフラワー、無印のアロマを炊きながら音楽演奏とかもありかもしれません。
こんなふうに地域の活性化、地域の作家さん、アーティストさんたちとの連携、育成もはかっていけたら、せっかくの広大なスペース、本当に有効に使えるのではないでしょうか。
昨年の3月4日にアルパークに行った時は、ちょうど東棟の閉店ラッシュが終わったころで館内はゴーストタウン化していました。
あの時は本当に寂しい気持ちがしましたが、またアルパークに活気が戻ってくれるとうれしいです。
そしてコロナがはやく終息してくれるといいですね。