こんにちは。大人のおしゃれ塾、田中です。
みなさんはユニクロ(UNIQLO)がつくる『ライフウエアマガジンLifeWear magazine』はご存でしょうか。
2019年8月23日(金)に創刊され、ユニクロの店舗をはじめ蔦屋書店などで約100万部が配布されたフリーマガジンです。Kindleやウェブサイトでも配信されました。
クリエイティブディレクターは木下孝浩氏。もと『ポパイPOPEYE』(マガジンハウス)の編集長です。2018年にファーストリテイリングに転じてから『LifeWear magazine』でもその手腕を発揮するようになりました。
2019年というと消費税が8%から10%にアップされた年です(2019年10月)。
8%から10%に消費税が上がっても「ユニクロの商品はそれに見合うだけの価値がある」という、ユニクロの服づくりに込めた想いをアピールする手段として、このフリーマガジンの発行は極めて有効だったのではないでしょうか。
その後の「総額表示の義務化」に伴うユニクロの価格戦略については、以前のブログにも書きましたが、すべてにおいて用意周到、次々と仕掛けが繰り広げられてきました。
年2回の発刊で、この春夏号で6刊目となります。日本語と英語のバイリンガル表記なため文字数が多く、文字サイズも全体的に小さいです。
『LifeWear magazine』Issue 06(p.44~45)
この春夏号では、メルボルンのビーチ・ハウスで【UNIQLO and JW ANDERSON】のコレクションが撮影されました。デザイナーのジョナサン・アンダーソンにとって「海で過ごした時間」は大切な思い出のひとつだそうです。色とりどりのビーチハウスが可愛いですね。
こんなふうにユニクロの商品にまつわる記事ももちろんあるのですが、むしろそれは控えめで(前面に出さず)もっと着ること(ウエア)や文化(カルチャー)に着目した作りになっています。
掲載されているユニクロ商品の説明も、こんなに小さい活字があるのかと思う程小さく、しかも目立たない場所に印刷されていて、読むには虫眼鏡がいるほどです(笑)
単なる企業宣伝誌、ルックブックとは明らかに一線を画しています。
春夏号では映画監督・脚本家のソフィア・コッポラへのインタビューが組まれていたり、「これホントに無料でいいのですか?」と聞きたくなるほどの充実ぶりです。
『ライフウエアマガジン』のコンセプトについてUNIQLOのサイトでは次のような説明がなされていました。
LifeWearは、あらゆる人の生活を、より豊かにするための服。
美意識のある合理性を持ち、シンプルで上質、そして細部への工夫に満ちている。
生活ニーズから考え抜かれ、進化し続ける普段着です。
それは実際にどのような服であって、どのような考えのもとで作られているのか。
多くの人に伝えるために創刊されたのがLifeWear magazineです。
LifeWearは、あらゆる人の生活を、より豊かにするための服。生活ニーズから考え抜かれ、進化し続ける普段着。「なるほど!」とユニクロの理念というか哲学に唸ってしまいました。
「普遍的な」とせずに「進化し続ける」としたところがユニクロの賢明さではないかと。そしてこの理念を多くの人に伝えるために『ライフウエアマガジン』は生まれたのだと。
ユニクロではこのマガジンとは別に、新作コレクションを載せたルックブックとして『ライフウエアコレクション』という冊子が発行されています。もちろん無料です。
『LifeWear COLLECTION』
こちらの冊子は35ページほどの薄さですが、ユニクロらしい美しい写真で構成されており、余白が多く非常に読みやすいです。
春夏は「JOY OF COLOR」!色彩を楽しもうというページもあって、セーターやパーカ、スウェット、ソックスにまで色彩が溢れていました。ソックスはなんと50色展開です!!
JOY OF COLOR(p.8~9)
長い冬が終わり、日差しに春の気配が感じられ始めたら、こういった明るい色が好ましく感じられますね。
「春らしい」といえば昨日の中国新聞、折り込みチラシの中に福屋百貨店の【ファッション&グルメ大祭典】の案内がありました。
【ファッション&グルメ大祭典】
レモンイエローやブルーなど清々しいカラーがアクセントになって、フレッシュな春らしさを際立たせています。
商品写真も細部までよく撮れていて分かりやすく、平置きの仕方(組み方)もさすがプロだなぁと。
取り上げられた商品も魅力的で、思わず説明文(これまた小さい)を目を凝らして読みました。価格はやはり百貨店プライス!けれどワクワクするような楽しさがありました。
「行ってみたいな」「買ってみたいな」と思える広告チラシだと思います。
同じ商品、似たような商品であれば「価格の安さ」が一番の決め手になりますが、安ければ何でもいいというわけではありません。
ユニクロの『ライフウエアマガジン』にしても福屋の折り込みチラシにしても、そこに何かしら訴える力、世界観が見えていると人は心を動かされるのだなと改めて感じました。
百貨店の大変さはもちろんですが、ファーストリテイリング社(ユニクロ)も2021年以降、業績に落ち込みが生じているようですが、なんとか切り抜けてほしいものだと思います。