こんにちは。大人のおしゃれ塾、田中です。
正直なところ、私はこれまで『婦人公論』を購入したことがありませんでした。
なぜ購入しなかったかというと、婦人総合誌に興味がなかったからです。
仕事柄ファッションの専門誌を買うことはあっても、嫁と姑だとか、夫との関係がどうのこうのとかは(笑)、ちょっと入り込みたくない世界のように感じられました。
それがなぜ今、購入に至ったかというと、瀬戸内寂聴さんと作家の林真理子さんの対談があったからです。
しかもこの対談は寂聴さんが亡くなる半年前(6月)に行われました。本当にこれが最後の対談になりました。
まだお読みになっていない方もありますので内容については触れませんが、寂聴さんの「死」への向き合い方を垣間見ることができたように思います。
寂庵のお庭で撮られた写真には、しっかりと立って笑顔をこちらに向けている寂聴さんがいました。貴重な対談でした。
今回の2022年2月号から『婦人公論』は月刊誌となります。昨年までは月に2回発行されていました。もっと昔(数十年前)にも月刊だった時期があったようです。なにせ歴史のある雑誌で、創刊は1916年(大正5年)だそうです。
婦人公論は・・・(以下、婦人公論.jp、婦人公論の歩みより)
総合雑誌『中央公論』の女性版として創刊されました。創刊号の表紙は長原孝太郎の筆になる蘭の花。女性の解放と自立を後押しするとともに、女性のさまざまな幸せについて考える雑誌として歩み始めました。平塚明子(らいてう)、与謝野晶子らも執筆。著名人の独占告白、女性の恋愛事件や性愛に関する赤裸々な記事は大正時代からの定番です。
平塚らいてうや与謝野晶子が執筆しているのですから古いですよね~。感心していたら『婦人之友』はもっと古くて1903年、『婦人画報』は1905年でした。『婦人公論』より11~13年早いではありませんか。1903年は明治36年、日露戦争が始まる前の年です。
日本3大「婦人」雑誌、『婦人之友』、『婦人画報』、『婦人公論』には100年を超える歴史と伝統があったのです。
一方、『婦人画報』と美しい写真による誌面作りが似ている『家庭画報』は1958年~、昨年休刊となった『ミセス』は1961年の創刊ですから、60~65年の歴史があります。
こちらも昭和30年代からよく健闘してきたのではないでしょうか。けれど残念ながら文化出版局の『ミセス』は昨年をもって休刊となりました。(1月14日のブログ参照)
これら5誌の年間発行部数を調べてみました。
一般社団法人JMPA(日本雑誌協会)のマガジンデータ によりますと、『婦人之友』(婦人之友社)が5.0万部、『婦人画報』(ハースト婦人画報社)が9.4万部、『婦人公論』(中央公論新社)が14.2万部でした。
ただしこのデータはコロナ前の2018年10月1日~2019年9月30日のものです。
3誌のなかでは『婦人公論』が14.2万部と他の2誌に大きく水をあけていますが、月2回の発行であったことを考えると、この数字の半分と考えた方がよいのかもしれません。
ちなみに『家庭画報』(世界文化社)は10.4万部でした。結構売れてますね。
休刊となった『ミセス』(文化出版局)は6.4万部です。この6万部あたりが損益分岐点なのかもしれません。
『婦人之友』の発行部数は5.0万部と6万部を切っていますが、雑誌のオンライン書店Fujisan.co.jpによると、『婦人之友』は母から娘へ3代、4代、にわたって読み継がれてきた女性誌の草分けで、定期購読者のアンケートではいつも高評価とのこと。
発行部数こそ6万を切っていますが、根強いファンに支えられているのかもしれません。
ともあれ『婦人公論』は、今年度から月刊誌としてスタートを切ります。
歴史ある「婦人総合誌」の存続をかけての決断だったでしょう。巻頭には次のような言葉がありました。
大正5(1916)年の創刊から、女性たちの悩みに寄り添い希望をもたらす言葉を伝えて106年。戦中、戦後と世の中が激動するなかでも『婦人公論』は人々が求めるものを反映しながらこれまで1579冊を送り出してきました。
本のサイズは少しだけ背が高くなり、そのぶん、文字が大きく読みやすくなったそうです。
真っ赤な表紙が新しい門出にふさわしいですね!