ミシンの普及と手縫いの価値

ハンドメイド

大人のおしゃれ塾、田中です。

ソーイングや洋裁というと「ミシン」が頭に浮かぶ方は多いのではないでしょうか。

私の高校時代の友人はミシンが苦手で「ミシンを見ただけで頭痛がする」と言っていました。

おそらくこの友人のように、ミシンに苦手意識や嫌悪感がある場合は、昨日のブログにも書いたのですが、ミシンもそうスンナリとは言うことを聞いてくれないかもしれませんね。

ところでそのミシンですが、1790年代ごろ開発が始まったようです。

ミシンの発明と流行の拡大

今日のようなミシンの原型は、アメリカのエリアス・ハウによって発明されました。1846年のことです。

そのエリアス・ハウも1854年に、メリット・シンガーに製造販売権を売り渡してしまいます。

なんだか「マクドナルド」の歴史を思い起こさせるような話ですね。

その後、シンガー社は世界に覇権を広げます。

さて、そのミシンが普及するようになった「1850年代」ですが、西洋の女性の間では「クリノリンスタイル」といって、大きく広がったスカートが流行していました。

この流行を可能にしたのが「ミシン」です。

それまで手縫いで服は仕立てていましたから、流行の服を着ることができるは、ほんの一握りの富裕層に限られていました。

それがじゃんじゃんミシンで縫えるわけですから、庶民でも大きく広がったスカートを身につけることが出来るようになったわけです。

当時の風刺画には、お手伝いさんがテーブルに当たって転びそうになっている絵柄がよくあります。

もちろん履いているのは、大きなクリノリンスカート!

こうしてミシンのお陰で、私たちも大量生産された服を楽しむことができるようになりました。

手縫いの価値

ミシンで縫った服が当たり前になりすぎて、手縫いの価値が意識にのぼらなくなったような気がします。

ミシンが発明される前はすべて手縫いですし、パリのオートクチュール(注文服)も手縫いが基本でした。

日本の和服も手縫いです。(安価な仕立のものは手縫いに似せたミシン仕上げもありますが)

手縫いは縫い方、針目の大きさ、手加減等で自在に直線や曲線を表現することができます。

きっちり縫っても仕上がりに、独特の柔らかさが醸し出されるのは、手縫いならでは!

学生たちに聞いていると、ミシンが当たり前だし、ミシンで縫うことが最上と思っていたようです。

けれど、リメイクの授業で手縫いをさせると、縫いの柔らかさ、小回りが利く扱いやすさ、何よりも自分の呼吸のペースで縫い進める心地よさに、夢中になって作業をしています。

ミシンがなくても、針と糸があれば、服でも小物でも作れます。

手縫いは楽しいですよ!