こんにちは。大人のおしゃれ塾、田中です。
いやー、しまむらって以前から「すごいな」とは思っていたのですが、やはりすごいです。
何がすごいって、ユニクロ・GUを擁するファーストリテイリングに次いで日本で2番目の売り上げを維持しているのですから。もっともファストリは3兆円が近い2兆円台、しまむらは6千億円台ですが、アダストリアやワールド、オンワードHD、ワコールHD、青山商事、アオキHDをおさえての堂々2位です。
なぜ今しまむらかというと、先週、島村 恒俊(しまむら のぶとし)氏の訃報を目にしたからで、98歳で亡くなられた島村氏が「いったい何歳まで社長(代表取締役)を務められのだろうか?」という疑問からでした。ファストリの柳井さんなら、生涯現役を貫かれそうなので(あくまでもイメージです笑)
しまむらの歴代の社長
調べましたところ。。。
初代・島村恒俊社長
島村恒俊氏は1923年(大正12年)創業の島村呉服店(埼玉県)に生まれ(1926年)、1953年(昭和28年)に「株式会社島村呉服店」を設立しました。1961年(昭和36年)には「しまむら」チェーン1号店を埼玉県東松山市に開業し、以後「商品回転率を基準に品揃えを考えるべきである」という理論に基づき、セルフサービスによる販売手法を展開。既製品、婦人ブラウスから寝具まで、総合的な品揃えの店の素地をつくりました。
2代目・藤原秀次郎社長
藤原 秀次郎氏(1940年生 )は、1963年に慶應義塾大学商学部を卒業後、フジワラストアーを経て1970年9月に島村呉服店に入社。以降、1976年に取締役、1982年に専務を経て、1990年5月に社長、2005年5月には会長に就任(~2005年)。(※しまむら生え抜きですね)社長在任時には、同社を大手チェーン店に育て上げたので「中興の祖」と呼ばれています。
3代目・野中 正人社長
野中 正人(1960年生 )は、1984年に中央大学法学部卒業後しまむらに入社。商品部においてコントローラーやバイヤーを経験し、商品部課長、人事・総務・経理部長(総括)を経て2005年に代表取締役社長に就任(~2018年)(※野中社長もしまむら生え抜きですね。体調不良を理由に辞任されました)
4代目・北島常好社長
北島常好(1959年生 )は、1983年に流通経済大学経済学部卒業後しまむらに入社。
1996年に商品部長、2009年から取締役、執行役員を歴任し、2018年に代表取締役社長に就任。現在に至る。(※北島社長もしまむら生え抜きです)
以上、見てきたように歴代の社長はいずれも「しまむら生え抜き」。外部から入ってきた人がなっているのではありません。それだけしまむらのDNAが受け継がれているのではないでしょうか。
しまむらグループの強みは、高感度・高品質・低価格を兼ね備えた「商品力」と、高い利益を生み出す「販売力」です。そして、この強みは、基礎と基盤となる「人材育成」「ローコストオペレーション」「独自の仕組み」に支えられています。
商品力と販売力は、人材育成とローコストオペレーション、独自の仕組みに支えられているといいます。しかも社長が然るべき時期に若手に交代しているのですね。初代の島村社長は64歳、2代目の藤原社長は65歳、3代目の野中社長は58歳、4代目の北島社長は65歳(←今ここ)。老いても地位にしがみつくということがありません。“世襲”でないのも良いのかもしれません。
しまむらのローコスト経営
しまむらの店舗数は、基幹の「ファッションセンターしまむら」が1428店舗、アベイル 318店舗、
バースデイ 284店舗、シャンブル 97店舗、ディバロ 18店舗、以上国内で2185店、台湾で42店。
しまむらの店舗の外壁はベージュ、ピンク色、赤色で統一され、ほのぼのとした親しみやすい印象です。
床には御影石を使用しているそうですが、確かに写真に撮ってみると御影石ですね。
ですが、店内には高級感はいっさいありません笑。あくまでも庶民的というか、雑多で気楽な感じです。
ピンクや赤のストライプは内装にも使われていますが、私は全く気付きませんでした。とにかくここに来たら所狭しと置かれている商品に目が行きます。
アクセサリーもH&Mほどではありませんが、限られたスペースに細々と陳列されています。
しまむらには一部プライベートブランド商品もありますが、ユニクロや無印良品のような完全なSPAではなく、基本、各アパレルメーカーから仕入れた商品を中心に品揃えがなされています。
バイヤーへは「4つの悪」として、返品や赤黒伝票(訂正返品伝票のこと)、追加値引き、未引き取りを禁止し、そのフェアな取引商行為によってサプライヤーであるアパレルメーカーとの関係を深めているそうです。低価格で品質の良い商品をバラエティー豊かに陳列できるのもこの商取引の姿勢があってこそなのかもしれません。
さらに、しまむらはローコスト経営です。ロードサイド立地なうえに夕方18時には閉店します。主婦の生活時間帯に合わせた営業時間で、それは当然、働く側の勤務時間にもつながります。無駄に人件費や光熱費をかけない営業スタイルも徹底していると感じました。
しまむらの主戦場は、日本全国の地方小商圏。顧客の自宅から近いお店で、手軽に低価格でファッショや生活用品を買えるお店なのです。
そんな商売においては、仕入原価率は高くなりますが、低粗利率で販売するためにローコストオペレーションで運営する、というのがしまむらのビジネスモデル。それでここまでやってきているのですから、やはりすごいですね。
「しまラー」と「しまパト」
みなさんは「しまラー」という言葉を覚えておられるでしょうか。今でも使われているのかもしれませんが、私の記憶では2009年頃に使われ始めたと思います。
当時私は短大の教員をしていたのですが、ファッション系の学生が「しまむら良いよ~」と言っていたのを覚えているからです。ちょうどユニクロではジル・サンダーとのコラボ+J(プラスジェイ)が発売された頃でした。
全身のコーディネートをしまむらで済ませる「しまラー」、確かに学生たちの中にも何人かいたと思います。
しまむらを定期的に訪れて宝探しすることを「しまパト」という言葉も流行りましたね。
宝探しというのはなかなか宝がないから宝探しであって、商品すべてが宝の山ではないということです。だからこそ掘り出し物を見つけるのがセンスの見せどころであって、お金をかけずにオシャレを楽しむのが今の時代なのかも知れません。芸能人でもしまラーを標榜する人が出てきたりします。
しまパトがブームになった影響で2015年度の利益は、過去最高益に到達したそうです。
その後2016年には、しまむらではGMOインターネットグループのGMOメディアが運営するファッション共有SNS「coodisnap」と提携し、ユーザー参加型の商品企画が始まり、それは後にインフルエンサーとのコラボ商品企画へと発展していきました。
インフルエンサーやアンバサダーの登場
しまむらでは現在、多くのインフルエンサーと提携し、公式アンバサダーとのコラボ商品を数多く販売しています。
このブログを書いている最中にも、発売したばかりの商品が炎上。しまむらではありませんが、ベビー・ことも服のバースデイの商品。
その商品とは、ジョークとアートを掛け合わせたユーモラアが人気の現代美術作家・加賀美健氏とコラボしたTシャツや靴下、ヘアバンドなど。《パパはいつも寝てる》《パパは全然面倒みてくれない》などのフレーズが書かれたTシャツや靴下が、男性(パパ)蔑視?偏見?として問題となっている。
しまむらはすぐに謝罪を発表し商品の販売を中止しましたが、今度はそれがSDGsに反するのではないかという批判に。。。
いやー、踏んだり蹴ったりですね。
迅速さを求められる商品企画、コラボ商品はデザイナーとの齟齬が起こらない配慮も必要でしょうし大変ですね。ですがチェック体制は重要です。
再発を防ぐための見直しが行われると思いますが、どの企業もこの種のトラブルは本当に要注意ですね。