やはりラグジュアリーブランドにも生産の闇があったのか。

ファッション

こんにちは。大人のおしゃれ塾、田中です。

いやー、暗澹たる思いとはこのことでしょうか。

いつも拝読している南充浩 さんのブログ で、【ラグジュアリーブランドの生産体制も決して身綺麗ではないという話】という記事を読みました。

ラグジュアリーブランドの生産体制も決して身綺麗ではないという話 | 南充浩 オフィシャルブログ
普段、低価格ブランドが製造コストや下請け工場の待遇について槍玉にあがることが多いが、ラグジュアリーブランドがこの手の報道をされることはあまりない。 あまりないが、今回は珍しく報道されたのでご紹介したい

薄々は感じていたのですが「やはりそうなのか」との思いが心を暗くします。

ファストファッションについては、製造コストや下請け工場の待遇が槍玉にあげられることはあっても、ことラグジュアリーブランドに関してはこの手の報道がなされることはなかったと思うのです。

2018年に英高級ブランドのバーバリーが、ブランド保護のために衣料品やアクセサリー、香水など2860万ポンド(約41億8000万円)相当の売れ残り商品を破壊・処分していたことが報道されたことはありましたが。(これはこれでセンセーショナルでしたが)

今回、南さんのブログは、ニューヨークの経済メディアBusiness Insiderの記事をもとに書かれています。さっそく私もその記事を読んでみました。

この記事では、イタリア当局が、LVMH傘下のクリスチャン・ディオールとジョルジオ・アルマーニのバッグ請負業者を捜査した結果が報告されています。

Business Insider(2024年7月12日)
【40万円のバッグを作るのにディオールはいくら払っていたか…イタリア当局が搾取的な製造業者を捜査】

捜査の結果、両社がディオールがバッグの製造に支払っている金額がほんのわずかで、労働者を搾取しているうえに、労働条件、労働環境についても多大な問題があることが明らかになり、ディオールとアルマーニの工場は1年間、司法管理下に置かれることになりました。この期間中も製造は許可されるそうです。

ロイターが当局による調査文書を引用して報じたところによると・・・

ディオールがバッグの製造に対し業者に支払ったのは57ドル(約9200円)で、それを約2780ドル(約44万9100円)で販売していたという。皮革などの原材料にかかるコストは含まれていない。

アルマーニが請負業者に支払ったのは、バッグ1つにつき99ドル(約1万6000円)で、それが店頭では1900ドル(約30万6000円)以上で販売されているという文書をロイターは引用している。

まぁ、ぼったくりと言えばぼったくりですが、それはアパレルの製造が、人件費の安い国に集中していることを思えば予想はできることです。

ですが、製造に携わる人たちの待遇がここまで劣悪なのには驚きました。

捜査は3~4月にわたって行われたそうですが、、、

  • 労働者は施設内に寝泊まりして24時間体制でバッグを製造している
  • 下請け業者は中国企業で労働者の多くは中国から来ており、うち2人は不法滞在、7人が必要書類のないまま労働を行っていた
  • 接着やブラッシングの機械からは安全装置が外され、より速く動かすことができるようにされていた

まさか世界に名だたるラグジュアリーブランドが、ファストファッションで問題となったような労働環境で生産者を酷使、搾取していたとは。

このような事態は、検察当局によると、高級ブランド大手が労働規定に違反して高い利益を上げることが日常的に行われているそうです。

ラグジュアリーブランドの場合、人件費に対して商品の価格がべらぼうに高いのは「ブランド価値」の対価であり、それはある意味仕方のないことかもしれません。高ければ高いほど売れる世界でもありますから。

私が驚いたのは、そんな高級ブランドのバッグが「24時間体制で生産」されているということです。

新興の富裕層が「金に糸目をつけず」片っ端から買い漁っている様子が目に浮かびます。

価格が高いのは構いませんが、どうぞブランド側は、生産者の労働環境、待遇は守っていただきたい。

それができてこそのラグジュアリーブランドだと思うのです。