ファッションは決めすぎると“昭和”になる?着ることへの意識の変化。

ファッション

こんにちは。大人のおしゃれ塾、田中です。

いやー、ほんと最近、ドレスアップすることがなくなりました。

ドレスアップって何ですか?くらいの勢いです。

仕事をしている頃はまだセレモニーやら会食やらがあったので、時には居住まいを正すというか、きちんとした服装をすることがありました。それが今は皆無!

そんな私に突如、レストランでの会食という、一大イベントが降りかかってきました。

さてどうする!!

時は2月。まだ寒い時期です。

そんな時役に立ったのがこちらの一着。3年前にリメイクしたセットアップです。

本当にきちんとした格好をしなくてはならない時って来るものですね~。

きちんとした格好が必要な時ってありますよね
大人のおしゃれ塾、田中です。 広島文化短大在職中は、会議や入試など、きちんとした服装が求められる場面が多く、それなりにスーツやジャケットを用意していました。 退職を機に、そういった服はもう要らないだろうと、大半は処分(リサイクルショップ)し...

当日はベルトはせずにブローチとイヤリングを付けました。

これに黒のバッグと黒のパンプス。

いやー、自分で着といて言うのもなんですが、クラシックというかレトロでしたよ~(笑)。

1960年代のヒッチコックの映画に出てきそうなファッションです。

今どき広島三越はもちろん新宿伊勢丹に行ってもこんなスタイルは見かけません。

ストッキングを履いている時点で別次元!“昭和”という感じですね~。

『着るということ』鎌倉書房 (1993/6/1)の著者である水野正夫先生なら「気配りができている」と褒めて下さるかもしれませんが、現代の目からすると時代錯誤というか古めかしいの一言でしょう。

もちろん私は好きでこの格好をしましたが、それはレストランでコース料理、しかもフォーマル度マックス!な状況であればこそ。ふだん街中でこのようなスタイルをしようとは思いません。

いちばん抵抗があったのは久々に履くストッキングとヒールの高いパンプスでした。

水野正夫先生はまずタイトスカートを基本と考えられます。タイトといってもヒップラインから下はストレートで、歩くことによって正面からのラインが裾(すそ)に向かって細まるという訳です。ですので後ろや横にスリットは入りません。

お色は黒、グレー、ミッドナイトブルー、ベージュ。

素材は中肉のウール。上質で丈夫であることが条件です。生地を購入する際は握ってシワになりにくさを確かめます。

ヘム(すその縫い代)は多めに取り、流行の変化に対応できるようにします。

ウエストはきつ過ぎずゆる過ぎず、手が入るくらいのゆとりを持たせます。もちろん裁断時は布目を正す(通す)ことが重要です。

この基本のタイトスカートがあればどんなスタイルも自在に作れるというのが水野先生の持論です。

さらに革と金属を足すことで装いが完成します。

革というのはベルトやバッグ、靴のこと。金属というのはネックレスやイヤリングなどアクセサリーのことです。布地だけのファッションに質感の違う素材をもってくるわけですね。

ところが今の時代、これをやろうとすると途端に行き詰ってしまいます。

やっぱりスニーカーやスポーツサンダルでじゃんじゃん歩きたいですから(笑)。

本革のバッグはもちろん高級感がありますし装いがグレードアップすることも確かです。ですが合皮には合皮の良さがありますし、今の時代、格調の高さを服装に求める意識はどんどん薄れているように思います。

着ることへの意識の変化でしょう。

カチッと決めるよりはどこか抜け感がある方が今の気分といったところです。

水野正夫先生の『着るということ』は今でも私のバイブルですが、90年代に書かれたこの書物、どこか古いアルバムをめくったような懐かしさを感じさせてくれます。

古き良き時代の規範とでもいいましょうか、永遠の憧れです。