こんにちは。大人のおしゃれ塾、田中です。
みなさんはご自身の「物欲」というか「モノが欲しくなる気持ち」に疑問を持たれたことはありませんか。
私は最近、特にそれを感じます。
というのもちょうど2年前、大動脈解離(A型)で開胸手術したのですが、それから1年間の闘病生活は苦しさばかりで、物欲などほとんどなかったからです。
そんな私が術後1年を過ぎるあたりから、パソコンやスマホを1時間近く見たり、一人で数時間なら外出できたりと、徐々に回復の兆しがあらわれてきました。
すると今までなら考える余地もなかった服のことが頭に浮かんでくるようになったのですね。
「モノが欲しくなる」のはある意味、健康のしるしなのかもしれません。今日はそんな物欲、所有欲について考えてみたいと思います。
装うことへのモチベーションが持てるのは健全なしるし?
引き続き私事で恐縮ですが、闘病生活も9か月目あたりに、私はこんなメモを残しています。
服を買いに行けなかった日々
服を買いたいとも思わなかった
買っても着て行くところはないし
行ける自分になれる気もしなかった
毎日 痛いところ心配なところが次々と起こってきて
毎日が辛く不安で怖かった
来年、文化の非常勤、続けた方が良いのかやめた方が良いのか
やめたい気がするのは もう私でなくても良いような気がするから
ずいぶん弱気ですね。
当時は毎日、体温や血圧、体重などを記録していて、その余白にこのメモが記されていました。
後にも先にもこんな走り書きはこの2日だけで、よほど気持ちが落ち込んでいたのでしょう。
結局、文化短大の非常勤はその後半年で復帰し(リハビリ頑張りました涙)、服も少しづつ買い揃えました。
「教壇に立つ」ということはそれほど私にとっては大きなモチベーション(動機、要因)だったのでしょう。
私の例は極端かもしれませんが、この行為、行動はファッションの本質を物語っています。
装うことは「他者の目」があってこそ!
C.W.カニングトン(19世紀の服装史家)は「たった一人で暮らす者の服装は急速にファッションとしての色合いを失っていく」と述べています。
大学院時代に目にしたフレーズですが、言いえて妙ですよね。出典が思い出せなくてすみません。
そうなんです!着て行く場があってこそのファッションなのですね。
他者の目を気にしない服装はもはやファッションとはいえず、単なる衣類、暑さ寒さをしのぐツールにしか過ぎません。
私たちが装うことに意義を見出すのは、どこかしらの場所や場面で「お気に入りの姿態を演じたい」という動機があるからこそ。
それは決して非難されることではなく、人間に備わった社会的な本能の一つではないでしょうか。
脳の快楽中枢を刺激する「買い物」行為
療養中の私からすれば「モノが欲しくなる」のは決して悪いことではなかったのですが、所有欲は度が過ぎれば生活に支障をきたす場合もあります。
買ってからまだ袖を通したこともない服が部屋には何袋も。。。というのは明らかに買い物依存症が疑われます。
けれどもライフハックの記事によると、所有欲は人間に生まれつきのもので「天然資源は限られているため、人間は競争によって、できる限り多くの物の所有権を主張する必要がある」とあります。
もう1つの理論としては、物質主義を加速させている不安感や欠乏感は、「私たちに常に警戒心を持たせるための一種の進化メカニズムだ」というのです。
必要悪なのですかね。
さらにこの記事で驚いたのが次の文章です。
米科学雑誌『Neuron』に掲載された論文では、物の購入を考えている時、脳で何が起きているかに注目しています。被験者に対し、製品の画像を一瞬だけ見せたところ、被験者がそれを気に入った場合は、脳の側坐核という領域が反応しました。脳の快楽中枢と言うべきこの部位は、欲しい物を手に入れることを考えただけでフル回転を始め、脳をドーパミンで満たすのです。
「何かを買うことを考えただけなのに、実際にそれを購入したのとほぼ同じ状態になった」とは!
確かに私もネットでいろいろ服を見るようになってから購買欲が高まりました。
私の場合は見る対象は「服」ですが、人によってはそれが食器だったり化粧品だったり模型だったり色々だと思います。
好きだから見る、見れば欲しくなる、という流れは必然といえば必然かもしれません。
ライフハックではさらに米誌『The Atlantic』に掲載されたMarsha L. Richins教授の論文を引用し、モノを買うことからくる幸福感が長続きしないことを指摘しています。
物質主義的な人は、何かを手に入れようと考えるだけで、短期的に幸福感が高まります。そういう人たちは、いつも何かを手に入れようと考えているので、それによって頻繁に気分が高揚している可能性もあります。(中略)けれども、何かを手に入れようという考えに伴うポジティブな感情は、短時間で終わってしまいます。実際に購入した後でもポジティブな感情は味わえますが、購入前に感じていたほど強くはありません。
確かに、モノを手に入れてしまった後はゴール達成というか、それで一区切りついた気はしますよね。
私も今、脳内でドーパミンがあふれているアイテムがあります。
3月3日発売のGUとbeautiful people(ビューティフルピープル)のコラボ商品!!
GUとbeautiful peopleのコラボ祭りに参戦
これまでbeautiful peopleの服は着たことがなかったし、人気のあるライダースジャケットやトレンチコートにも興味がありませんでした。息の長いブランドだなとは思っていましたが。
それがここへきてGUとの初コラボ。
価格は本家の10~15分の1以下ですからこの際、試してみるのもいいかなと。
とはいってもターゲットはやはり10~40代?サイズはクリアできても着こなしが難しい気がします。同じ電車内に10代の学生と私が「同柄のセーター」というのはやはり辛いかな。
そんなスリルを覚悟しながらも欲しいと思ったのはタックワイドパンツ!
袴(はかま)のようなシルエットのパンツです。お色はブラックとベージュの2色展開。私は迷わずブラック狙い!
ノースリーブの黒のトップスをインしてAラインで着こなそうとか、オーバーサイズの白のロンTをフワーッと上にかぶせてとか、まぁ夢の広がること広がること!
黒のヘッドバンドを着用すれば結構モードっぽくなるしとか、脳内がお花畑!(笑)
3月3日、開店と同時にGUに行ってみます。
インフルエンサーによる事前の煽り(←言い過ぎ?)もあり、商品によっては完売が早いかもしれないので。
しかしまぁ、あれこれ商品をネットで見ている時間は本当に楽しかった!ドーパミンの噴出、半端なかったのでは。
こういうコラボはいわば祭り!
買うまでの祭りを十分楽しんで、あとは試着で買うか買わないかを判断します。この作業も私は大好きです。
結局何も買わなかったとしても気分は清々しい!
そうなんです、この判断ができるかどうかが「健全な買い物」か「依存的な買い物」かの別れ道ではないでしょうか。
物欲、所有欲との向きあい方
依存的な買い方というのは、例えば誰かが持っているから欲しいとか、持っていないと恥ずかしい、といった他人への同調意識や恐れからくるもの、持つことでしか自分を満たすことができない精神状態からくるものがあります。
自分(現実)を直視できていないのですね。
現実を直視せず、脳内の夢物語で買い物するのはたいへん危険です。
今の自分に本当に必要なもの、自分をよりよく見せてくれるものを見極めることが大切です。このような視点で服を選べば、おのずと必要なアイテムは絞られてきます。
GU and beautiful peopleのタックワイドパンツは、試着したら撃沈するかもしれません。
それならそれで良いです。これまでの時間は無駄ではなかったし、不似合いな(=不必要な)アイテムを増やさずに済みます。
好きなものは見たいし、見るのが悪いことではありません。楽しめば良いし必要であれば買えば良い。
ただ所有することに捕らわれすぎると、私たちは幸せから遠のくこともあります。そこだけは注意したいものですね。
試着して現実と向き合うこと。
3月3日、GUイオンモール広島府中店、行ってきます!