広島県立美術館は「至宝」という名にふさわしい工芸展がよく似合います。

美術館

大人のおしゃれ塾、田中です。

広島県立美術館「リヒテンシュタイン侯爵家の至宝展」に行きました。

リヒテンシュタイン公国はスイスとオーストリアに挟まれた小さな国です。

国を統治してきた侯爵は、代々同じ名前「リヒテンシュタイン」を受け継ぎ、それが国名にもなっています。

今回の特別展には「侯爵たちが愛し収集した北方ルネサンス、バロック、ロココを中心とする油彩画と、東洋・西洋の陶磁器、合わせて126点」が展示されています。

写真撮影が許可されていた作品をご紹介しますね。

こちらは『アオボウシインコのいる花と果物の生物』(油彩画・板、1830年)です。

このような静物画の起源は、やはり17世紀のオランダでしょう。

風景画や肖像画と並んでオランダ市民の間で一世を風靡しました。

こちらも静物画『磁器の花瓶の花、燭台、銀器』油彩・板、1839年)です。

なかには磁器にこのような細密な静物を描いた作品もありました。

陶磁器の作品群も素晴らしかったです。金彩がまばゆい!

今回私が驚いたのは、中国(清王朝)や日本の磁器(有田焼など)をゴージャスに金で西洋風に装飾していたことです。

『青磁金具付大壺』(清王朝磁器・金属装飾、1760-70年頃)

制作は18世紀(ロココ様式)ですが、私には17世紀のバロック風なニュアンスが感じられました。

こちらは撮影不可でしたので、展覧会のリーフレットを部分撮りしたため不鮮明ですみません。

「ヨーロッパの宝石箱」というキャッチコピーにふさわしい輝かしい展覧会でしたが、私が一番感動したのは、このコレクションの歴史です。

リヒテンシュタイン家では、美しい美術品を残すことこそ重要であり、お金よりも美術品を集めることが侯爵とし手の価値を後世に残す、という考え方が家訓として大切に守られてきたのです。

第二次世界大戦時、ナチス(ドイツ)によって略奪された美術品(コレクション)を、危険をも顧みず、侯爵と美術館長が取り戻したという手に汗握る物語があったそうです。

命がけで人類の美の遺産を守り抜いたのですね。

そんな感動を胸に展示室を後にしました。

2階からの眺望に癒されます。