こんにちは。大人のおしゃれ塾、田中です。
いやー、驚きました。百貨店化粧品売り場の盛況ぶり!
広島そごうに久し振りに行ったのですが、平日だというのに1階のシャネルもディオールもサンローランもお客さんで一杯!
時刻は昼下がりの2時半。
他にも資生堂、クリニーク、NARS、RMK、ジバンシイ、クラランス、ゲラン、シュウウエムラ、ローラメルシェ、ポール&ジョー、カネボウ、ボビーブラウン、MAC、SK₋Ⅱ、などなど、書くだけでもたくさんですが、いずれのお店にもお客さんが入っておられるのに目を見張りました。
百貨店の凋落が言われて久しいのに、化粧品とデパ地下(食品)は最後の砦なのかもしれません。
よく見るとアテニアやファンケル、花王エストなど通販からスタートしたブランドやドクターシーラボなどドラコス(ドラッグストアコスメ)も出店しているのですね。
さらに驚いたのが、お客様がみな店内の座席で美容部員さんにタッチアップしていただいていたことです。
タッチアップというのは、美容部員さんが実際にお客様の肌で商品の使用感や色合いを試していただくことですが、お客様はみな、肩に白いタオルをかけた状態で鏡に向かって座っておられました。
年齢層は50代が中心でしょうか、中には20代と思われる方もありました。カップルでお越しの方はブランドバッグが目立っており、今時の若い人には珍しいタイプなので、ひょっとしたら海外の方かもしれません。
みなさん、私が日頃行くスーパーと違って、ワンピースだったりスカートだったり、エレガントな装いです。ここに来るとしたら、やはりそれなりにきちんとした格好をした方が「場にそぐう」というか、ショップやブランドの雰囲気にマッチすると思いました。
百貨店で扱われている化粧品のことをデパコス(デパートコスメ)といいますが、ていねいな接客と美しい製品、洗練されたデザインのショッパーを手にしたら、さぞかし幸福感に包まれるのではないかと、買わなかった私でさえ思いました(笑)。
化粧品としての性能は(目隠しテストをしてみればわかりますが)、ドラコスのものでも大差ないことも多く、デパコスの威力はそのブランド力に負うところが大きいといえましょう。
「信じるものは救われる」ではありませんが、アイシャドウやチークのケースを開けるたびに、そのゴージャスなデザインやブランドのマークに気分が上がります。
けれど、こういった魔法は、何もデパコスに限ったことではありません。
「信じるものは救われる」はドラコスでもノーブランドのコスメでも起こります。
洗顔料や化粧水など基礎化粧品でも同じこと。
今は亡き脚本家、小説家の向田邦子さんのエッセイに『パックの心理学』というのがあって、その一文にいたく心を動かされました。(雑誌クロワッサンに1978年掲載:『眠る盃』より)
少し長くなりますが引用させてください。
時間がきて、パック剤をはがし、或いは洗い流して鏡を見る。
明らかに肌はしっとりしている。
そう思える。
これが一番大事なのだ。自分の気持ちをだまし、自分にも判らないように嘘をついて、それを信じて、楽しく生きてゆく。
これがあるからこそ、どんな女も可愛らしく、そして美しく、男と一緒に生きてゆけるのだろう。
パックをするという行為には、肌を美しく整えたい、より美しくなりたい、若さを保ちたい、そんな気持ちが込められています。
その行為を通して、パック剤をはがした後の肌が「明らかにしっとりしている」と「そう思える」ことが「一番大事なのだ」と向田さんは言っています。さらに「自分の気持ちをだまし、自分にも判らないように嘘をついて、それを信じて生きてゆく」。
なるほど!(←私の心の声)
向田さんはさらに続けます。「これがあるからこそ、どんな女も可愛らしく、そして美しく、男と一緒に生きてゆけるのだろう」と。
うーん、深い!(←同上)
そうなんですよね。
「男と一緒に生きていく」はともかくとして、「どうせ私なんか」と自分を卑下し自分をおろそかにする女性は、急速に女性としての可愛らしさを失っていきます。
化粧品には女性を「女性たらしめてくれる力」があるのではないでしょうか。
私はパックはしませんが、それでも朝夕の化粧水と乳液は儀式のように心を込めてつけています。おそらく今の自分にそれが最良の方法だと思って行っているのでしょう。
そういう意味では、私も「この方法で肌の美しさが保てる」と「自分の気持ちをだまし、自分にも判らないように嘘をついて、それを信じて」生きているのだと思います。
本日のブログのタイトルは【化粧品は女性の夢を叶える魔法のツールなのか。】でしたが、結論としては「Yes」ですね。
人生の楽しさの感じ方には様々なベクトルがあるでしょうが、ファッションにしろ化粧品にしろ、自分をどう見せたいかに関しては、そう見えていたい自分を信じて生きていくのが幸せなのではないでしょうか。
「信じるものは救われる」その意味では「化粧品は女性の夢を叶える魔法のツール」なのだと思います。