こんにちは。大人のおしゃれ塾、田中です。
気が付かないうちにユニクロでは、イギリスのデザイナー、クレア・ワイト・ケラーによるUNIQLO : Cが発売されていました(9月15日)。
そもそも「クレア・ワイト・ケラーって誰?」な状態の私。。。
業界に身を置く人なら知ってて当然の人物なのかもしれませんが、ハイブランドのデザイナー(交代劇)に興味を失くした私には「へぇー」という感じでした。
そんなわけでクレア・ワイト・ケラー(Clare Waight Keller)について、ユニクロや『ヴォーグ』『ハーパーズ バザー』の日本公式サイトで学習しました。
グローバルな影響力をもつクレア・ワイト・ケラー
さすが、ユニクロが白羽の矢を矢を立てるだけあって、錚々(そうそう)たる経歴の持ち主ですね。
イギリスのロイヤル・カレッジ・オブ・アートを卒業後、カルバン・クライン、ラルフローレンで働き、2000年にはグッチのシニアデザイナー、2005年にはプリングル、2011年にはクロエ のクリティブ・ディレクターに就任しています。 そして2017年にはジバンシーのアーティスティック・ディレクターの座を射止めているのですね。
さらに2018年にはブリティッシュ・ファッション・アワードの「ウィメンズウェア・デザイナー・オブ・ザ・イヤー」を受賞し、2019年には『タイム』誌の「世界で最も影響力のある100人」のひとりに選ばれています。
1970年生まれですから50代も前半、働き盛りといったところでしょうか。
ハーパースバザーの記事「ユニクロとの新ラインで再び脚光! クレア・ワイト=ケラーってどんなデザイナー?」ではクレアのことを次のように述べています。
彼女のデザインの特徴は何より大事なのは、女性デザイナーでグローバルな影響力をもち、エレガントな美学で有名だということだ。
一流のファッション教育を受けて育ち、世界で最も有名なブランドでの経験があるデザイナー。
しかも「女性デザイナーでグローバルな影響力をもつ」というのですね。
UNIQLO:Cを手に取ってみたときの率直な感想
私は発売から5日後の9月19日、紙屋町サンモール店にてこちらの商品を見てきました。
率直な感想は「似合う日本人は限られるのでは?」といったところです。
事前にYouTubeで購入者の動画を3~4本見ましたが、残念ながら「似合っている」とか「身体が美しく見える」とは思いにくかったです。
特に私がNGだと感じたのは、透け感たっぷりのジョーゼットのワンピース(イエローとネイビー)です。これから秋冬に向かう日本では、これは薄過ぎるのではないかと。むしろ春夏向けな感じがしました。
小花柄のワンピースも(ジョーゼットほど薄くはないが)ウォーム感はなく、胸のVゾーンがかなり深いです。下に何か着ないと日本では着用不可なのではないでしょうか。それで下にハイネックセーターとか着ることになるのですが、それをやるとまた野暮ったくなるのですね。
あと残念だったのが、ワンピースやニットのイエローとスカートのイエローがの色味が微妙に違うことです。
セーターやカーディガン、ワンピースのイエローはどちらかといえば青み寄りのイエローなのですが、、、
スカートのイエローは熟したバナナ寄りの黄みが強い色味になっています。
これは私的にはかなり残念でした。
ニットとスカートとセットアップで着る!という夢は破れました。イレギュラーなヘム(すそ線)や中途半端なスカート丈にも難しさを感じました。
さらにニットのハイネック部分の高さやゆとり量も着る人を選ぶように思います。
UNIQLO:Cのコンセプトは「エフォートレスで洗練されたスタイル」。
エフォートレス (effortless)とは、はIFIビジネス・スクールの用語集から引用すると、、、
エフォートレスとは「努力を要しない」「気楽な」という意味で、ファッションでは「気取らずにオシャレを楽しむ」というトレンドワードとして使われています。
とあるように、気取りがなく肩の力を抜いた感じを出すファッションスタイルのことをさします。
その割には、着こなしが難しく感じるのは私だけでしょうか。
コートも丈が中途半端で、気軽に羽織るに丈が長すぎたり短すぎたりするように思います。ジャケットもオーバーサイズな割には袖丈が短かく、ポケットも位置が上過ぎで使いにく面もありました。
コーデュロイのセットアップも、ジャケットは日常使いするにはシルエットがベーシック(フォーマル)過ぎるし、股上が浅いパンツもトップスをインするか出して着るかで判断に迷うところです。
中綿入りのアイテムはブルーやベージュの色出しが美しく、ぱっと羽織れる軽やかさがありましたが、身幅はかなり広く、着丈は63㎝前後なので、前を開けて着るとテントのように広がる感じがしました。
クレア・ワイト・ケラーのねらい「世界一になるためには、欧米で売ることが重要」
いろいろと辛口なコメントを書いてきましたが、一昨日、WWD(日本版ファッション業界専門紙)の記事「ユニクロ:シー」クレア・ワイト・ケラーが語ったユニクロとラグジュアリーの違いを読んだ途端、UNIQLO:Cへの数々の???が消え去りました。
クレア・ワイト・ケラーは世界をねらっているんだ!!
記事中でWWDの「ユニクロは世界一のファッションブランドを目指しているが、世界一になるために、何が足りていないと思うか。」という質問に対してクレアは次のように答えています。引用が長くなりますが是非お読みください。
クレア:欧米のマーケットに広がることが重要だ。私は欧米のファッションマーケットのことはよく分かっているので、私の知識を提供することでユニクロはさらに前進できるのではないか。ファッションの捉え方やファッションに求めるものは、欧米とアジアとでは異なる。それらをうまく融合して、グローバルなスタイルとして出していきたいと思っている。例えば欧米ではシアーな素材が女性らしさもあって好まれるが、ユニクロの世界であるアジアではあまり求められない。どちらにとってもちょうどいいポイントを見つけ、ユニクロでうまく機能する方法で欧米のお客さまにも満足していただく。そのやり方を見つけていきたい。
いやー、これには参りました。
欧米ではシアーな素材が好まれるのですね。
深いVゾーンも日本人なら躊躇しますが、欧米では女性らしさのアピール。なにか問題でもありますか?くらいのことでしょう。
柳井さん(ファーストリテイリング会長兼社長)も、そこまでを見込んでクレアの起用だったかもしれません。
だとしたらUNIQLO恐るべし。
こんな透け感満載のワンピース、着るとしたらクリスマスパーティーくらい?、と思った私には完全にグローバルな視点が欠けていました(笑)
UNIQLO:Cは今後も続投されるようなので、どのような展開になるのか楽しみです。