こんにちは。大人のおしゃれ塾、田中です。
先週は胸が苦しい感じが続き、ちょっと凹んでいました。
上行大動脈解離の手術から2年。こういった症状がいまだに身体のあちこちに起こるのが悲しいところ。。。
CTやレントゲン、血液検査に問題がないだけでも有難いと思わなければ。。。
そう考えて、不安な気持ちを紛らわすため、最初は30分から始めて、着物のリメイクに取り組むことにしました。
1日目より2日目、3日目とだんだん作業時間がのびて、7日目の作日ようやく太極拳のパンツが完成しました。
胸の苦しさも9割がた消えていました。
法事用の黒羽織りを太極拳パンツに
なぜ、いきなり太極拳のパンツなのか、疑問に思われたかもしれませんが、じつは闘病生活を送っている頃から「元気になったら太極拳を習いたい」と夢に描いていたのです。
幸い以前と比べたらずいぶん元気になったので、5月からは近くの公民館で練習に参加してみようと考えていたのですね。
手元には母が誂(あつら)えてくれていた法事用の「羽織り」があったので、それを使うことにしました。
一度も手を通さないまま、母の法事でも着ることはありませんでした。
躾(しつけ)糸も付いたまま!
私の家紋は下り藤(さがりふじ)。
家紋は女系なところが面白いですね。
着物をきない現代では、自分の家紋を知らない人も増えているかもしれません。
家紋は、昔は1個につき5~6,000円で刺繍してもらえましたが、今は仕立て上がりの着物で8,000円、反物の段階で入れてもらうと1万数千円かかるそうです。
訪問着でも色無地でも、背縫いに家紋が入ると一気に着物の格(装いの格)が上がります。家紋恐るべしですね。
羽織りの生地は、ぱっと見、黒一色ですが、波と花の地模様が入っています。打ち込みがしっかりした生地なので、針の通りは固かったと思うのですが、運針の美しさは見惚れるほどです。こんな美しい仕立てを一度も着ないまま解(ほど)くとは、なんともったいないこと。。。ですが、
せっかくの素晴らしい着物、使わないでしまっておくよりは、今使えるものに蘇らせたいと思います。
太極拳、ド素人のへにゃへにゃなくせに、パンツだけは一人前だったりして。
「恰好から入る」というやつですかね。
ウェブ上では意外と型紙が少ない太極拳パンツ
さて、いざ型紙を、という段になって、ウェブで検索してみましたが、これが意外と情報が少ないのには驚きました。
作るより買った方が安い時代ですからね。
生地代、糸代、ゴムひも代を考えると、手間暇かけて作る意味がわからなくなるほど安価な太極拳パンツは出回っています。
それでも敢えて「手作り」と思われるとしたら、着なくなった着物のリメイクかもしれません。
そんなわけで今回は私が作った型紙をご紹介します。
図では前後をつなげていますが、反物(着物)の場合は、前と後ろで切り離してください。私は直接、生地に製図しました。
股上寸法は一般的にS、M、Lサイズで26、27、28㎝といわれていますが、この製図では、股のくり(奥行き)が浅いので、深履きを好まれる方は1~2㎝長めに設定されると良いでしょう。
この製図では股上寸法にゴムを通すベルト布として7㎝を加えています。(1㎝折って3㎝幅の三つ折りに仕上げます)
私の場合は、生地の丈が足りなかったので、ベルト部分は羽織の「マチ」という部分から前後をつなげた状態で裁ちました。
※腰囲(ヒップ寸法)は反物の幅ぎりぎりまで使用(私の場合は反物の幅は37㎝でした)
※製図は縫い代1㎝を含んでいます
股下寸法は身長160㎝の私で73㎝、そこに裾(すそ)のゴムを通す折り返し分3㎝をプラスしています。(裾は1㎝折って出来上がり2㎝の三つ折り)
初心者にはハードルが高いかもしれませんが、両脇にシームポケットがあるとなにかと便利です。
仕上がったのがこちら。
もちろん、家紋は使いましたよ~♪
この目印のおかげで履く時、どちらが前か後か迷うことがなくなります。
なによりパンツが映えます!(自画自賛)
シューズはまだ太極拳用のものを持っていないので、無印良品で買ったレザーシューズを合わせてみました。
このシューズは本革で疲れにくいのと、ロングスカートに合わせやすいので、特に春先や秋に大活躍してくれます。
じつはこのシューズは2代目。無印のロングセラー商品ですね。
晴れて練習に行くようになったら専用のシューズ(アシックスとか)を購入したいと思います。
はやく体調が安定するといいなぁ。。。
作業の癒し効果~コーピング~
今回、太極拳パンツをつくる過程で、徐々に不安な気持ちが和らいでいったのは、単に「日にちが薬」だったといえばそれまでですが、ひょっとしてこれがメンタルヘルス用語でいうコーピングなのかもしれません。
コーピングとは、ストレスを対処するための行動を指します。
英語では「coping」と記され「問題に対処する、対応する」という意味らしいですが、ストレスに対して、自分自身で意図的に行うセルフケアの1つといわれています。
私もただ不調の沼にはまるだけでなく、作業を通して、負のループから這い上がることができたのではないかと。
最初の日は羽織りの糸を解くだけで精一杯でしたが、次の日にはアイロンをかけ、製図も途中まで、といった具合に、どんどん調子が上がってきました。
いちど解離した大動脈は、生涯の保証はないのですが、それでも先生は「解離した部分はしっかり取り替えました」といって下さいます(笑)
昨年末から授業を再開しましたが、生かされた命!
これからも私が学んできたことをお伝えできるよう、日々養生しながらやっていきたいと思います。
6月の太極拳・体験講座、申し込みました!
■追記
太極拳の練習用チュニックの作り方はこちらです。