こんにちは。大人のおしゃれ塾、田中です。
3月20日、久し振りに三次の奥田元宋・小由女美術館に行ってきました。
9月のゴッホ展以来です。
館内は自然光があふれ、木材をふんだんに使った内装も目に優しい。
通路にはグリーンの寄せ植えもあり「おもてなし」の心ですね。
斎藤清展~Modern Realist~
今回私がこの作品展(斎藤清展)に行ってみようと思ったのは、先週【大人のアート教室】で版画を体験したからです。
斎藤清は日本版画界を代表する作家(1907-1997)だそうです。
これまで版画といえば、葛飾北斎や安藤広重の浮世絵や、棟方志功くらいしか知りませんでしたが、斎藤清展のことを中国新聞の記事で見て、急に行きたくなりました。
単純ですよね~(笑)
でも何かにひかれる、好きになる、というのはそんなものかもしれません。
引き寄せ、ですかね。
展示室は第1会場から第3会場まであって、作品総数は194点。膨大な量です。
ここまで作品が多いと見飽きてしまうことがありますが、飽きませんでしたね~。
とにかく作風がモダンで、技法の素晴らしさとあいまって独自の世界をつくりあげています。
斎藤清とはいったいどんな人だったのでしょうか。
斎藤清について
1907年、福島県で誕生した斎藤清は、幼少期に北海道に移住し、青年期までを過ごしたそうです。
幼い頃から絵を描くことが好きで、1927年には小樽で「看板のスズラン」を開業しました。
当時「看板業」というのは非常にクリエイティブな仕事で、銭湯のペンキ絵が頭に浮かぶ私の認識とはずいぶん違っていたようです。
この頃、デッサンや油絵を習っていた成田玉泉を通じて棟方志功とも知り合っています。
その後、1931年(24歳)で上京し、本格的に独学で油絵の勉強に励み、翌1932年には「白日会展」35年には「国画会展」で入選しています。
油絵からスタートした斎藤ですが、36年に安井會太郎の版画「初姿」に触発され、手探りで版画を始め「日本版画協会展」で初入選という快挙です。
ここまでの話は第二次世界大戦前のことで、モンドリアン(1872年~1944年)やカンディンスキー(1866年~1944年)が先達として同時代を生きているのですね。
これってすごくないですか。
斎藤は絵画から無駄を捨て去り究極の線や面で画面を構成します。モンドリアンの抽象画がそうであったように。
東京美術学校(現:東京芸術大学)に学んだわけではなく、斎藤が日本で認められるようになったのは海外(特にブラジルやアメリカなど)で高い評価を得るようになってからです。
評価の逆輸入というかたちですね。
斎藤は日本現代版画界のパイオニアとして活躍し、1995年には文化功労賞を受賞し、翌々年、90歳で生涯の幕を閉じますが、今回の作品展には85歳の時の作品もありました。
最後まで絵心は衰えなかったといいます。
斎藤の生まれ故郷の福島には斎藤清美術館が作られ、様々な切り口で作品の紹介がなされています。
こちらの美術館が作成した動画は、学芸員さんの登場時間の方が長いので(ギャラリートークの実録のため)、福島中央テレビ放送のもの(2007年2月25日)を子午線工房のチャンネルからご紹介させていただきます。
27分と少し長いですが、見ていただく価値があると思い貼らせていただきました。
ご覧いただけるとうれしいです。
福島の素顔 斎藤清「生誕100年国際的版画家」
ご視聴ありがとうございました。
おわりに
今回の作品展、写真撮影は一切禁止だったのは残念でした。
全作品とは言いませんが、一部の作品でも撮影OKにしてもらえたら、このブログでももっと具体的にご紹介できたのにと思います。
購入した図録や絵ハガキをデジタル化するのも著作権にはふれる行為ですから難しいところです。
こちらの美術館はFacebookはされていますが、Twitterやインスタグラムでの発信もなく、これでは来場者も増えようがないのではないでしょうか。
平日とはいえ、私が行った3月20日は、土日と春分の日の中日、もっと来場者があるかと思いましたが館内はガラーンとしていました。
もっとSNSでの拡散を利用して、来場者を増やさないともったいないです。こんな素晴らしい作品を!
撮影OKな作品が数点でもあれば、来場者は必ず写真を撮りますし、そのうちの何人かは必ず、LINEかインスタグラム、Twitterにアップします。
行った記念ですから(笑)
今、東京の現代美術館で開催中の【クリスチャン・ディオール、夢のクチュリエ展】は、4月分の前売り当日券がわずか数時間で完売するほどの勢いです。しかも日にちと時間指定での発券(オンライン)です。
私も5月に行く気でいましたが、5月分の当日券の発売は4月5日。それまでに新幹線や宿の手配も考えなくてはいけません。買える確証もないし諦めモードになりつつあります。
それこそSNSでの発信が既にあちこちでなされています。
これを見ただけでも行った気になったり(笑)
よろしければ皆さまもどうぞ。
アイエム・インターネットミュージアムより