百貨店ブランドの将来に思いをはせながらワールドのシュー・ラ・ルーで買い物をしてみました。

ファッション

こんにちは。大人のおしゃれ塾、田中です。

広島では広島そごう新館が2023年夏に閉館します。

これまでにも天満屋八丁堀店に続き、アルパーク店、緑井店も閉店しました。全国的にも百貨店閉館の流れは止まりません。

百貨店が賑わっていた頃、婦人服フロアといえば、オンワード樫山とワールドストアパートナーズの両ブランドが軒を並べていたものです。

オンワード樫山でいえば、組曲、23区、自由区、iCB、ポールスミス、Jプレスなど。

ワールドでいえば、インディヴィ、UNTITLED、リフレクト、コルディア、クードシャンス、インデックスなど。

ワールドは一時は108もブランドがあって「除夜の鐘かい」と思ったくらいです(笑)

その他にも三陽商会、イトキン、シンプルライフ、サンエーインターナショナル/東京スタイル(現TSIグループ)、ジャバグループ、ジュングループ、ファイブフォックス、など2000年代はまだ百貨店ブランドにはそれぞれの顔というか個性があり、売り場には活気がありました。

百貨店ブランドが華やかだった時代

当時はまだ、百貨店やパルコのようなファッションビルで売られている商品は、やはりデザインも品質も優れていて、価格はそれなりにしましたが人々は相応の価値を感じで購入していたと思います。

バブルが崩壊した後も、アパレル業界は一気に精彩を欠いたわけではなく、ファッションにお金をかける人は今よりずっと多かったものです。

私も過去の写真を見てみると、2009年には福屋百貨店のRené(ルネ)で購入したノースリーブのニットを着用しています。コサージュ付きで確か3万円くらいでした。

この頃は仕事に必要でメイクの勉強をしており、写真はヘアメイクショーの時のものです。

この頃の私は髪型をショートに変えたのもあり、それまでのワイズ(Y’s)やコムデギャルソンを脱して、フェミニンな要素のある服を着たい気分になっていました。

広島そごうでは同時期、HIROKO KOSHINO(ヒロココシノ)も買いました。

その後、好みはマチコジント(machiko jinto)に移り、広島三越のアッシュ・ぺー・フランス(H.P.FRANCE)や東京の青山本店で、今思えば何かに取り憑かれたように購入していました(笑)

マチコジントは残念ながら閉店しましたが、どのブランドも素材もデザインも値段だけのことはある素晴らしい商品でした。

ファストファッション、プチプライスの隆盛と浸透

私が百貨店で買い物をしたのはこの頃が最後だったと思います。

髪も再び伸ばし始め、それ以降はネット(ユークスYOOX)でマルジェラのMM6や、ヨージヤマモトアディダスのコラボY-3を注文したりもしていましたが、時代は新たな局面に!

プチプラ(プチプライス)時代の到来です!!

「しまむら」で全身コーディネートしている「しまラー」も2009年に出現しました。

H&Mなどの海外のファストファッションがどんどん日本進出を果たしたのもこの頃です。

こうしたファストファッションに付きものの「安かろう、悪かろう」といった認識、それを打ち破ったのが、ユニクロとジルサンダーのコラボ+J(2009年秋冬~)だったのではないでしょうか。

確かに本家のジルサンダーとは(特に素材では)雲泥の差がありますが、テイストに関しては如何にもジルサンダーらしく(まぁ、ジルサンダー本人のデザインですからw)十分、その構築的なシルエットを楽しめたと思います。

+Jの次には、「シャネル」のミューズとして知られた元スーパーモデルイネス・ド・フレサンジュとのコラボ(2013年~)、エルメスの元デザイナークリストフ・ルメールとのコラボ(2015年~)も見落とせません。

これらのコラボ商品は、ユニクロの徹底した品質管理、縫製の美しさもあって、ファストファッションの立ち位置をグっと引き上げたと思います。

プチプラのあや(ぷちあや)さん登場も2010年です。

「安いものでもスタイリング次第ではオシャレに見えるのだ」と多くの人が共感を覚えたことでしょう。

2016年には、ファストファッションを如何に上手く取り入れるかがYouTubeでもインスタグラムでも盛んに発信されるようになりました。

今では、ユニクロやGU、しまむら、H&M、ZARA、無印良品、を取り上げないと視聴回数(再生回数)がとれないくらいファストファッションは浸透しています。

ちなみに広島にイオンモール府中ができたのが2006年です。

あのころから郊外に大規模店がどんどん出来ていきました。

百貨店ブランドの同質化

こうして、そこそこオシャレな商品が安く購入できるのであれば、わざわざ高価な商品を販売員に気兼ねしながら買う必要はなくなります。

百貨店のコンサバエレガンス系の服であれば、ファストファッションにもありますし、通販でもDoCLASSE(ドゥクラッセ)など値ごろ感のあるブランドはたくさんあります。

2000年代にはまだ、そういった気が利いたデザインの商品が低価格のショップには「なかった」のです。

このことについてファッションジャーナリスト南充浩氏は、当時、百貨店向けブランドと量販店向け衣料は明らかに異なっていたと述べています。

当たり前のことが低評価レビューになってしまうことの弊害 | 南充浩 オフィシャルブログ
超高価格帯のラグジュアリーブランドを除いて、その一歩手前にある百貨店向けブランドやファッションビルブランドがイマイチ振るわなくなった理由の一つとして、これらの中級上位から高価格帯下位にあるブランドの商

今の40歳未満の方々には全く想像できないだろうが、「ブランド物」の代替品は、同じジャンルのブランドしかなかった。今のようにユニクロ、ZARA、アダストリアあたりの低価格ブランドで探すということは不可能だった。なぜなら、低価格ブランドの商品はデザインソースこそ同じだが、使用している素材も色合いも素材の質感もシルエットやディテールも全くブランド品とは異なっていた。

そして、百貨店ブランド不振のもう一つの理由として、商品のベーシック化と同質化をあげています。

超高価格帯のラグジュアリーブランドを除いて、その一歩手前にある百貨店向けブランドやファッションビルブランドがイマイチ振るわなくなった理由の一つとして、これらの中級上位から高価格帯下位にあるブランドの商品がベーシック化して同質化してしまったことも挙げられると考えている。

それは私も感じました。

今回縁あってワールド(ワールドストアパートナーズ)のサイトを見ましたが、ブランド数は大幅に削減されていましたが、残っている主力ブランド、特にインディヴィとアンタイトルの違いが感じられませんでした。

着用しているモデルのタイプが違うだけで、商品そのものは、どちらがどちらでも、何ならオンワードのiCBと入れ替えても分からないくらいです。

コンサバな商品には避けられない宿命かもしれません。

さらに問題なのはコンサバエレガンスへのニーズの減少です。

今、テレビのキャスターでも女性でスーツを着ている人は少なくなっています。ブラウスやニットでの登場もすっかり見慣れてきました。スーツやジャケットが必要なのは、一般企業では営業職か余程のエグゼクティブではないでしょうか。

そもそもキレイ目なスタイルにはストッキングが必要ですしフォーマル度が高いです。婚活ではいまだにこのようなコンサバファッションが推奨されているのかもしれませんが、時代はもっとカジュアル志向になっています。

しかも日本では女性の半分以上が50歳以上らしく、30~40代の女性でコンサバエレガンス系を必要とする人はますます縮小するのではないでしょうか。

必要ではありますけれど。

SHOO・LA・RUE シューラルーで見つけたトートバッグ

今回、ワールドや百貨店ブランドについて書く「きっかけ」となったのは、偶然、目に入ったワールドのブランドSHOO・LA・RUE (シューラルー)のディスプレイでした。

いつものようにフジグラン高陽店に食品を買いに行ったのですが、その時、通路に向かって着せ付けてあるトルソー(人台)から眩い光が目に飛び込んできたのです!

持ち手が長いシルバーラメのトートバッグが肩掛けしてありました。

タックハンドルシェル編みトート ¥3,847(税込)

肩に掛けてみたら(姿見も店内のちょうどよい場所にあり)なかなかいい感じです。30%OFFになっていましたが、ちょっと考えてみようとその場では買わず、2日後に行ってみたのですが、売れてました~(涙)

そうなると買っておけばよかったと悔やまれるものです(笑)

そこでワールドのネットショップを見てみると、あるではありませんか!在庫8点となっています。ところが値引き率が20%なのですね。

「ええーそういうこともあるんだ~同じブランドなのに」とまたまたその場で買わず、2日後にサイトを見てみたら、なんと完売しているではありませんか!

「縁がなかったんだ」とガックリ。。。諦めてワールドの他のブランドを視察すること2日間。(ここでインディヴィやアンタイトルなどを見てみました)

ふとその後、あのバッグ(シルバー、アイボリー、黒の3色展開でした)の他の色は売れたのかと疑問に思いサイトを見てみたら、なんとシルバーが2点、復活していたのです!

これも運命かと思い、すぐにポチりました。

新規登録したら送料も返送料も無料となります。ワールドさんも届くのが早かったです。

商品説明には・・・

シェル編みデザインに目を惹く涼し気なニットバッグ。
シルバー(006)はラメ糸を使用しており、キラリとアクセントになるカラーです。

とあります。重量 約280g、素材はポリエステルで中国製でした。裏地もグレーで内ポケットや袋口には磁石スナップも付いています。

手編みだと思いますが美しい仕上がりです。特に持ち手の丸編みが肩に掛けても滑りにくく大変気に入りました。本当にこれを持つだけでキラリと光るアクセントになります。

SHOO・LA・RUE (シューラルー)のコンセプトは「デイリーからトレンドスタイルまで 日々を楽しくしてくれるさまざまなアイテムをセレクトし、トータルに提案するハッピーライフスタイルストア」だそうです。

ワールドとしては珍しく、量販店クラスのブランドですが、生き残っていくとしたらこのような値ごろ感のあるブランドか、CORDIER(コルディア)のような高価格帯のブランドかもしれません。
コルディアはずいぶん年輩向けのテイストになっていますが、もっと若々しいテイストで、50代以降のご婦人の体型を美しく見せる方向でリニューアルされると良いのではと思いました。

おわりに

じつは私は20代の頃、CORDIER(コルディア)を着ていました。
母がコルディアで買っていたので、その流れで私もニットのタイトスカートやカーディガンを買ってもらったことがあるのです。
もともとワールドは、1959年に神戸からスタートした婦人ニットの会社です。
若かった私の目にも、製品の上質さ、品格には圧倒されるものがありました。
なので今回、ワールドさんには辛口なことを書きましたが、根っこのところでは頑張ってほしいと思っています。それは百貨店に対しても同じです。
けれど閉店していく百貨店に対して、買いもしなかったくせに「残念です」と言うのは都合が良すぎます。
私も同じように、今回、数千円の商品を買ったくらいで「頑張ってほしい」というのはおこがましいかもしれませんね。